デジタル化に取り組む際の課題について考える。

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2022年版の中小企業白書から

2022年版「中小企業白書」が公開されています。

2022/04/26付で、中小企業庁のウェブサイトにて、2022年版「中小企業白書」が公開されています。第1部は例年通りのタイトル「令和3年度(2021年度)の中小企業の動向」ですが、第2部のタイトルは次の通りでした。2021年版の第2部タイトルと比べてみると、ホットなトピックは何かが感じられると思います。

  • 2022年版 第2部「新たな時代へ向けた自己変革力」
    • 第1章:中小企業における足下の感染症への対応
    • 第2章:企業の成長を促す経営力と組織力
    • 第3章:共通基盤としての取引適正化とデジタル化、経営力再構築伴走支援
  • 2021年版 第2部「危機を乗り越える力」
    • 第1章:中小企業の財務基盤と感染症の影響を踏まえた経営戦略
    • 第2章:事業継続力と競争力を高めるデジタル化
    • 第3章:事業承継を通じた企業の成長・発展とM&Aによる経営資源の有効活用

2022年版と2021年版の両方に出現している単語としては、「感染症」「デジタル化」「企業の成長」。そのことからも、「デジタル化」を引き続きの重点項目に掲げていることが分かります。「概要版」(プレゼン資料のような大きな文字で76ページに要約)や、15分の動画(ゆっくりした説明なので、1.5倍速で聴けば10分です)も用意されていますから、是非、一度、ご覧になってみてください。

デジタル化に取り組む際の課題

どんな課題があるのだろう?

「デジタル化の取組状況別に見た、デジタル化に取り組む際の課題」として、次の図が掲載されています。

デジタル化の取組状況別に見た、デジタル化に取り組む際の課題
2022年版「中小企業白書」第2部第3章「共通基盤としての取引適正化とデジタル化、経営力再構築伴走支援」

上図の段階1~4は、調査対象企業の取組状況を4つの段階に分けたもので、次のように説明されています。「段階4」が最も進んでいる状況です。

  • 段階4
    • デジタル化によるビジネスモデルの変革や競争力強化に取り組んでいる状態
  • 段階3
    • デジタル化による業務効率化やデータ分析に取り組んでいる状態
  • 段階2
    • アナログな状況からデジタルツールを利用した業務環境に移行している状態
  • 段階1
    • 紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態

課題に対して感じること

当社は、業務改善やIT力向上に向けたコンサルティングやトレーニングを手掛けていますので、お取引のあるお客様は、基本的には「IT化・デジタル化を推進する!」と掲げて取り組まれている事業者さんばかりです。

ただ、中には、やはり「IT化・デジタル化の抵抗勢力」のような存在になってしまう方がいて、そうした方々は、デジタル化の推進を阻む反対理由・懸念理由として、課題に挙げているようなことを口にする方は多い印象があります。

そこで、課題の一部をピックアップして、その課題の背後にあるさまざまな『問題』を考えてみます。

費用対効果が分からない・測りにくい

確かに、重要なポイントです。しかし、「費用対効果を測定するために、さまざまな業務活動において、具体的な評価指標(KPI)として何をウォッチしていますか?」と伺ってみると、取り組みゼロであることも多い印象があります(測っていない)。取り組み前の計測値が無いのに、デジタル化した後の費用対効果を何と比較するのか謎です。

この課題は、そもそも「デジタル化」の課題ではなく、業務改善など新しい挑戦・取り組みを始めるということ自体が日常的になされていない「今のままでいい」的な社内カルチャーが根本的な問題だと考えられます。

従業員がITツール・システムを使いこなせない

次のようなことを点検してみてください。組織の中でITツール・システムを導入したとして、ツールだけでは浸透・利用活性化が進まず、効果も出ません。「ツール」と、その利用を前提とした「ルール」が組み合わさって、初めて効果が生まれ始めます。

  • 操作方法に関する説明・勉強の機会や「時間」を確保できていますか?
  • 通常業務の中でどのように使うことが有効か、「継続的」に組織(会社・部門)内で議論されていますか?
  • IT基本スキルの教育機会も無く、IT利用機会の少ない現場に、すべて丸投げしていませんか?
  • 慣れない間は、処理速度の低下、戸惑いや調べる時間の増大などにより、一時的に業務パフォーマンスが落ちるかもしれません。それでもなお「今後は、このITツール・システムを使うんだ!」と確固たる方針を、全員に伝えられていますか?

デジタル化を推進できる人材がいない

「現状、いない」ことを「課題」に挙げているということは、このままでは良くない状態だと認識しているとは思われます。この先も「デジタル化は推進しなくても良い」とトップが考えるのであれば、デジタルを推進できる人材は「不要」なのですから、そもそも「課題」にはなりません。

当初は、外部の人材のサポートを受けるのが良いかなとは思います。ただ、先々はいろいろなことを自社内で活用できるように、推進リーダーの候補となるような社内人材を選定することが大切。

また、その人材に十分な活動時間を与えてあげないと、いつまでも外部人材頼みになってしまうので、どのような状況をゴールと考えるかについては、経営側で決定しておく必要がありそうです。


現在のような不確実な社会(同じことを繰り返しているだけでは、事業を維持できない環境)においては、アジャイル、デザイン思考などにも代表されるように、仮説・検証を反復するスピーディー・柔軟な事業運営を図ることが不可欠になりそうです。そして、こうしたところは、フットワークの軽い中小企業の方にアドバンテージがあるように思いますが、皆さんはどのようにお考えになるでしょうか?

ちなみに、今、学校でITを学ぶ若者たちは、上記のような仮説・検証を繰り返すような情報デザインなんかも学んでいるんですよ。

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