組織的なリスキリングの実施で「学び機会のある」会社へ。

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リスキリング(リスキル)とは?

今月(2022年5月)初め、岸田総理がロンドンでの講演で次のスピーチをしていました。

ストック面での人への投資については、職業訓練、学び直し、生涯教育などへの投資が重要です。この分野への我が国企業の投資は諸外国と比べて格段に少ないのが実情です。政府として、既に3年4,000億円のパッケージを導入していますが、今後更に教育訓練投資を強化して、人的資本の蓄積を推進することで、労働移動、雇用流動化を積極的に支援していきます。特に兼業・副業の推進とともに、リスキリングに力を入れます。

首相官邸「ギルドホールにおける岸田総理基調講演」から抜粋

労働移動、雇用流動、兼業・副業などは分かるけど、「リスキリング」って何?

公的な定義を探してみたところ、経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」(2021年2月26日開催)ページに添付された資料に次のように定義されていました。民間委員の方のプレゼン資料なので、これをもって「公的な定義」とはならないのかもしれませんが、公的な検討会で発信された信頼のできる情報として引用します。

リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。
近年では、特にデジタル化と同時に生まれる新しい職業や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えている。

デジタル時代の人材政策に関する検討会(2021年2月26日開催)「石原委員プレゼンテーション資料」から抜粋

「学び」という要素を持った単語であることは間違いなさそうですが、「職業で必要となること」「これからの職業に活かせること」を学ぶというニュアンスが強いと言え、個人の興味・関心に任せた「学び」とは区別して使う単語ということなのかもしれません。

学び機会のない環境 vs 学び機会のある環境

別のブログ記事や当社ウェブサイトでも触れていますが、2022年度から、ついに高等学校でも「情報」という科目が新たな必修科目となりました。高校卒業後にすぐ就職する社会人であれば、あと、2~3年後にはITの基本を学校で学んだ若手を会社に迎えることになります。結構、難しいことまで勉強するんです(下記、例)。

ディレクトリ、データ、データ構造、データ型、データサイエンス、データ転送レート、データベース、データベース管理システム、データモデル、データ量、テキストマイニング、テクノストレス、デザインの要件、デジタル、デジタル化、デジタルツイン、デバイスドライバ、展開、電子掲示板、電子決済、展示権、電子商取引、電子証明書、電子署名、電子マネー、電子メール

ある高等学校教科書の索引「て」の内容を列挙

これまでも、自ら専攻・選択して、高等学校、専門学校や大学などで、上記のようなITを学んできた人材を迎えたこともあったと思いますが、今後は、「新入社員のほぼ全員が学んでいる」状態になる訳です(小中学校でも情報教育が行われています)。もしかしたら、体系的にIT学びの機会を得られないまま仕事をしてきた世代との間に、仕事に対する考え方の分断に繋がるかも…というのを、イラストに表してみました。(当社ウェブサイト上のものと同じです。)

●学び機会の「ない」環境

学び機会のない環境

●学び機会の「ある」環境

学び機会のある環境

ITに限りませんが、何かの業務について「詳しい人」と「詳しくない人」が混在する時に、「詳しくない人」に合わせて業務が組み立てられていたら、効率も生産性も向上していかないですよね。だからこそ、「詳しくない人」を「詳しい人」に押し上げていけるよう、先輩・後輩を組み合わせたOJTなども実施してこられたのではないかなと思います。

ITも同じで、まず「知る(知識を得る)」ことができれば、次は、知ったことをどう「活用する」かを考えていけますが、そもそも、知識が無ければ活用の手がかりや可能性に気付くことすらできない。更には…。

  • IT知識を前提に若手社員が提案してくるITやデジタルの話を、相談相手・決裁者である先輩や上長が理解できない。
  • 理解できないから、どうしても言動・行動が消極的になる。
  • その姿を見て若手のモチベーションが下がる。

生産年齢人口が減少する中、従業員のモチベーション維持・向上も大きな課題。「これからの時代に必要だから」と言われてITの勉強を積んできたのに、「これまでの時代と変わらない」発想・考えばかりだったら、「この会社で成長できる?」と不安になる心情は理解できますよね。

業務で必要な学びの機会を、会社で提供

産業能率大学総合研究所が、日本企業・組織における人事/人材教育部門の担当者・責任者を対象に実施した調査結果(2021年5月)に次のようなものがあります。(引用元:日本の企業・組織におけるリスキリング実態調査 報告書

挙げられている課題を見ると、「人材戦略」「スキルの可視化」「スキルの洗い出し」など重厚なテーマが並んでいます。「ブレの無いようにキッチリ詰めて、決定した上で実行」というアプローチもありなのですが、初めて実施することを、机上の議論だけで最初から定義し切れる訳がないというのが、デザイン思考、アジャイルやリーンなどの発想。

人事評価にも接続するようなレベルのことはキッチリ詰めるとしても、現場の従業員が身につけておきたいITスキルはいろいろな種類・レベルがあるはず。人のスキルやモチベーションの形成には、どうしても相応の期間が必要です。早く始めた方が有利!ということで、中小企業の皆様にも「なるはや」(なるべく早く)の検討開始をご提案いたします。

当社でも、業務実践型のトレーニングコース(研修)をご提供しています。よろしければ、ご検討ください。

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