中小企業のテレワーク、更にレベルアップを目指しませんか?

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最近のテレワーク状況の変化は?

平穏な日常が戻りつつあることを感じ始めたところに、新たな新型コロナウイルス変異株の出現。もう暫く、先の読みづらい日常生活やビジネス環境が続いてしまうのかもしれませんね。

さて、今回の感染症で加速したと見られる企業のテレワーク環境整備。実施率はどう推移しているのか、なるべく新しいデータを探していたところ、東京都産業労働局が2021年11月11日に発表した「テレワーク実施率調査結果(10月の調査結果)」がありました(月次で調査・発表されているようです)。

出典:東京都産業労働局 報道発表資料「テレワーク実施率調査結果 11月」実施率の推移

詳細な調査結果はリンク先からご覧いただくとして、10月の実施率は55.4%と下がってはいるものの、テレワーク実施企業および実施者の中には、仕事の特性等を考えた場合に「かなり無理をして」テレワークを実施してきた所もあると思われ、そのような企業は感染症の流行状況改善に合わせてオフィス勤務に戻したいだろうということを考えると、実質的には横ばいの状態でテレワーク勤務は続いているようだと捉えています。

調査結果からは、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドテレワーク」や、半日・時間単位のテレワークである「テレハーフ」など、さまざまな形態でテレワークが継続していることも分かり、自社に合わせた最適なテレワーク環境を見出しつつあることを推し量ることができます。

新卒採用、人事評価や決算などの年次業務については、昨年の新型コロナウイルス大流行から1~2度しか実施されていない訳で、今までの業務を改善して生産性や効率性を向上させながら、組織を新しい働き方に対応させていくには、年次業務も何回か繰り返して検証していくことが必要だと考えられます。オープンイノベーションがますます重要になっている昨今、プロダクト開発やサービス開発だけでなく、社内業務改善のような部分にも、自前主義にこだわらず、他社の取り組みも参照しながら、「守破離」(私が好きな言葉です)意識で臨むことも必要な気がしています。

テレワーク推進は引き続き支援される?

2021年3月に改訂されたテレワークガイドラインの改訂要点は?

ご存知の方も多いかもしれませんが、厚生労働省から公開されているテレワークのガイドライン「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」が、2021年3月に改訂されています。

厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」ウェブページ

「テレワークガイドライン」と通称を使うと気づき逃してしまうのですが、ガイドラインのタイトルが、前版『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』から、『テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン』へと変化しました。前版においても、導入・実施に関する内容を含んでいましたが、そうした目的のガイドラインであることを、より明確に示すためにタイトル変更に至ったということのようです。

改訂の主な概要として、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインの概要」に記載されている目次項目は次の通りです。

  • テレワークの導入に際しての留意点
    • テレワークの対象業務
    • テレワークの対象者等
    • 導入に当たっての望ましい取組
  • 労務管理上の留意点
    • テレワークにおける人事評価制度
    • テレワークに要する費用負担の取扱い
    • テレワーク状況下における人材育成・テレワークを効果的に実施するための人材育成
  • テレワークのルールの策定と周知
  • 様々な労働時間制度の活用
    • 労働時間の柔軟な取扱い
  • テレワークにおける労働時間管理の工夫
    • テレワークにおける労働時間管理の把握
    • テレワークに特有の事象の取扱い
  • テレワークにおける安全衛生の確保
  • テレワークにおける労働災害の補償
  • テレワークの際のハラスメントへの対応
  • テレワークの際のセキュリティへの対応

実際、「作業の様子が見えないのに、どうやって人事評価するのか?」(客観的な成果を評価できな状況は、テレワークに関係のない課題だとは思いますが)、「自宅でテレワークする際の費用負担をどうすれば良いか?」等のお話を伺うことは多くありましたが、きっと、国内各地にそのような疑問が多く湧き上がっていたのでしょう。

この「テレワークガイドライン」は、現場実務視点で見ても優れものです。テレワーク制度・文化のあるIT企業環境で20年ぐらい運営・管理業務に携わってきましたが、企業規模の変化、従業員の考え方の変化、セキュリティ環境の変化など、組織に常に発生する新しい課題に頭を悩ませながら取り組んできた事柄のエッセンスが濃縮されており、初めてテレワークを導入する中小企業、または、更にテレワーク制度を充実させていくことを目指す中小企業の経営・管理職の皆さんにも、是非、一度目を通していただきたい内容です。

テレワーク総合ポータル

厚生労働省の「テレワーク総合ポータルサイト」、各種のガイドラインや関連資料などの情報や事例情報など、実に多くの情報が集約されています。大企業のように「新しい制度を作るには専門コンサルタントへ依頼」しなくても、「必要な資料などは用意するから、中小企業の皆さんも始めていきましょう」というメッセージが強く感じるところ。

厚生労働省:テレワーク総合ポータルサイト

ポータルサイト中のページに、「テレワークの効果」として挙げられている、次の5つのカテゴリー。

  1. 業務生産性向上
  2. 新規雇用・離職防止
  3. 社員のワーク・ライフ・バランス向上
  4. コスト削減/節電
  5. 事業継続性確保(BCP対策)

「④コスト削減/節電」については、オフィス賃料、光熱費、交通費や残業代の削減という点で直近の費用削減について挙がっているものになりますが、過剰な設備利用による電力使用量の抑制や、業務上必須ではない移動機会の減少などは、CO2削減による地球温暖化対策にもつながると言え、未来世代への貢献にもなりそうです。地味ですけど、こうしたことも立派なSDGs活動の一環にも。

「⑤事業継続性確保(BCP対策)」については、 今回のパンデミックのみならず、大規模地震の発生が予想されている日本においては、欠かせない視点ですよね。ちなみに、当社では、リモートワーク前提に国内各地の方と仕事をするのが日常ということもあり、法令上、紙での保存が義務付けられているようなもの以外、業務データは全部クラウド上。万が一、通常の業務拠点に大きな災害があっても、パソコンさえあれば、みんな、いつでも、どこでも、業務再開。もっとも、今は零細企業ゆえフットワーク軽く、そのような施策を実現し易いという背景があるわけですが、このような状態は今後も続けていこうと考えています。

「働き方の未来2035」を振り返ってみると・・・

2016年に厚生労働省から「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」というタイトルの報告が公表されていました。時期的には、 新型コロナウイルスの「流行前」に報告されたものですが、次のように、現在の状況を捉えているような記述が多くみられます。結局のところ、「未来にはこうなるだろう」というのは既に予測されていて、そこに向けた動きが取れていなかったことが、今回のパンデミックで露見したというように見えます。

●物理的に空間と時間を共有することが重要だった時代は、企業はあたかもひとつの国家やコミュニティのような存在になっていた。もちろん、そうした組織を維持しようとする企業も存続し続けるだろうが、2035年には少数派になっているに違いない。そうした企業の変化が、さらに人々の働き方をより自由で柔軟なものに変えていくと考えられる。
●働く人は仕事内容に応じて、一日のうちに働く時間を自由に選択するため、フルタイムで働いた人だけが正規の働き方という考え方が成立しなくなる。同様に、それより短い時間働く人は、フルタイマーではないパートタイマーという分類も意味がないものになる。
さらに兼業や副業、あるいは複業は当たり前のこととなる。多くの人が、複数の仕事をこなし、それによって収入を形成することになるだろう。複数の仕事は、必ずしも金銭的報酬のためとは限らない、社会的貢献等を主目的にする場合もあるだろう。このように、複数の仕事をすることによって、人々はより多様な働く目的を実現することができる。
●働き方自体がより自由なものに変わっていく結果、自ら介護や子育てを行いたい働く人が、相応の時間を割いたり、仕事を休んだりすることが容易になっているはずである。
働き方の変化やIT の活用により、どこでも仕事ができるので、自然豊かな環境で職住近接かつ保育や介護の施設にも近接した形で働くことが選択できるようになることで、東京一極集中が変化していく可能性もある。

厚生労働省「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」から抜粋

テレワークによるリモハラ(リモートハラスメント)とか、テレワーク劣等世代とか、テレワークをすることによるネガティブな課題で残っているようであれば早々に解消し、これを機に、テレワークを「業務改善に活かそう」「働き方の改善につなげよう」等々、ポジティブな課題ばかりに悩める状況を実現したいところです。

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