現行業務の把握には業務フロー図、そして業務フロー図から業務改善

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業務マニュアル、作業手順書、引継ぎ資料、などなど

業務マニュアル、整備されていますか?

社内に存在するさまざまな業務、それぞれのマニュアル(手順書など)は整備されていますか?

おそらく「マニュアルが有る方がいいですよね?」と質問すれば、「(無いより)有った方が良い!」という答えが圧倒的に多く返ってきそうです。社内業務に関する情報については、ネット検索でサクッと教えてもらう訳にもいかず、なかなかもどかしい。やり方・進め方さえ分かれば、今すぐにでもその業務に取り掛かれるのに・・・。

業務の属人化(特定の誰かしかできない、分からない)は、便利な時もあるけれど、今後の大きなリスクにもなり得る。会社などの組織は、何年、何十年と代々多くのスタッフが関わることになる。だから、「誰が見ても同じように業務」を実施できるよう、業務手順を見える化(可視化)しておくことが重要であることは間違いありません。

実際のところ、整備状況はどうなのだろう?

アンケート調査結果のようなものがないか、調べてみました。業務マニュアルの有無や整備状況とは少々切り口が異なるのですが、株式会社アイディエーション社が2020年に実施した「マニュアル手順書ツールユーザー満足度調査」がウェブサイト上で公開されています。

約10,000人のビジネスパーソンに対して「仕事で業務マニュアル、作業手順書、取扱説明書、研修資料、引継書などを作成することがあるか」を質問した結果が次の通りです。

図:「マニュアル手順書ツールユーザー満足度調査」の結果を加工

この質問結果が「マニュアル有無」の割合をそのまま表すものとは考えられませんが、半数以上のビジネスパーソンはマニュアルの作成には関わっておらず、もしかしたら、本来マニュアル化が望まれながら、実際にはそうはなっていない業務が多くあるかもしれないことを推測させます。

マニュアル整備における 「葛藤」と「解決」

私自身は、中小企業の管理職を長年務めてきました。マニュアル作成に専任的に対応できるような事務職が居る訳ではなく、通常業務に追加する形でマニュアルの作成。マニュアル化する対象と、次のような課題とのトレードオフを考えながら、マニュアル化対象や表現方法を検討していました。

  • 作成するのにコスト(従業員の「時間」コスト、外注の「費用」コスト)が必要となる。
  • 一度作成したら、メンテナンスコストが継続的に発生する。
  • メンテナンスしないと、古い情報(業務手順や方法)が参照されてしまい、業務のミスを招く。

何かを作成するためのコストをゼロにはできないし、現場業務や対面業務などでマニュアルの「ながら更新」が不可能な場合もある。そこで、例えば、次のようなルールを設け、「無駄や負担が最小限」になる工夫をしていました。

  • マニュアル利用時に要追記・変更点があれば、即対応する。ただし、即対応が難しい場合は、部門共有のTODOリストに書き加え、「未反映の変更点があること」をリアルタイムに関係者で共有する。
    • マニュアルが更新されるまで多少タイムラグが発生しますが、「マニュアル+TODOリスト」で最新の業務手順を把握できます。
    • 要追記・変更点がなくても、TODOリストには「最終利用日」を記録していました。これにより、「TODOリストの書き漏れ?」と「マニュアルの変更が不要な状態」であることを区別しやすくなります。
  • 画面キャプチャ(スクリーンショット)が含まれているマニュアルの場合は、マニュアルの即更新が難しい場合でも、画面キャプチャだけは撮って保管しておく。
    • マニュアル作成に画面キャプチャが必要だから、わざわざもう一度操作をやり直してみる・・・のは、非効率(時間がもったいない)の極みです。
    • 画面キャプチャを撮る・保管するのが面倒・・・にならないようなITツールを活用していました。スタッフには「考える仕事」に多くの時間を使ってもらい、単純な機械的作業の負担・時間はできるだけ発生させたくないですから。

ただし、こうしたことを機能させるには「マニュアルは特定の誰かが作るのではなく、みんなで作るものだ」という文化の醸成が大前提。メリットや効果を客観的(予想値であってもなるべく定量的に)に説明し、全員に「やってみよう」という気持ちを抱かせることができるか、先ずはそれが一番のハードルです。

業務フロー図作成の作業効率も工夫次第

ただでさえ、手間がかかりがちな各種マニュアルのメンテナンス。中でも、図で表現しているもの(フローチャートなど)は、作図に使用しているツールに慣れていないと文章以上に面倒だったり。

当社ではこんな感じです。

当社では、業務フロー図の作成に「Whimsical」というクラウドサービスを利用しています(業務フローに限らない、作図ツールです)。ネット上にもサービス紹介記事がいろいろと見つかりますが、サービスの紹介なので、実務レベルの作図までして紹介しているものって少ないですよね。

でも、自社で使うかどうか検討する担当者としては、大雑把な理解を超えて、「どこまで」「どの程度」のものが書けるのだろうと気になるはず。そこで、いくつかの実例を掲載してみます。かなり分かり易い図を作成できます。

ちなみに、ここで紹介する業務フロー図は、それまで Whimsical など使ったことのない事務系スタッフに「Whimsicalで業務フロー図を作ってみて」と依頼したところ、その日のうちにアウトプットが出てきました。どうやら、操作性も結構シンプルなようです。
もちろん、最初は、見やすさのブラッシュアップや書き方の統一ルール作成など考える部分も多くあったようですが、それさえ決まってしまえば、あとはスムーズに書き進めていました。

Whimsicalの業務フロー図:サンプルその1

Whimsicalの業務フロー図
Whimsicalの業務フロー図

Whimsicalの業務フロー図:サンプルその2

Whimsicalの業務フロー図
Whimsicalの業務フロー図

目的にマッチするITツールとの「出会い」が作業効率を左右する

上図、いかがですか? かなり複雑なものまで描けていますよね? デザインにも配慮されていて、コネクタ(図形と図形を結ぶ線)にも丸みがつくなど、「見てみよう」という気持ちが喚起されます。

また、ツールのコンセプトを感じるのが、カラーや文字の大きさの選択肢が限られていること。例えば、文字の大きさとして指定せきるのが図形によっては大・中・小の3通りだけで「9pt」「12pt」など細々指定できません。色もカラーパレットから選べるだけで、濃淡を少々調整しよう的なことは(おそらく)できません。

最初は「ちょっと不便かな」と思いましたが、「それしかできない」と分かっていると、その部分を考える時間が発生しなくなります。ついつい資料の見た目に深くこだわりがちな(私のような)人には、この制約が、結果的には作業効率アップという恩恵をもたらしてくれました。

偶然知ったクラウドサービスでしたが、図版数の少ない間は無料で利用することもでき、当社のような小規模事業者にも使い始めやすいサービスでした。

どれだけIT関連情報(サービス、技術、製品など)を持っているかが、業務効率をも左右しそうな今の時代。ITコンサルティングに関わっているので、新しい情報を「知っている方」だとは思いますが、それでも、こうして「そういうサービスがあったのか!」という新たな発見は日常的。社内に「IT参謀」が居るか否かは、事業の成果にも大きな影響を与えそうです。

今回は、Whimsicalを使った業務フロー図の作成をご紹介しました。
よろしければ、試してみてください。

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